継続していくために

今日は、気象庁地球温暖化ワークショップ: 50年後の生活を探ってみよう」を見学し、引き続き、「気象講演会:高校生と考える、地球温暖化とわたしたちの未来」に参加した。

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なぜ、私が気象やら防災やらの仕事をしているのかは、不思議なご縁の重なりでしかない。

今回については、母校、学芸大附属高校地学の田中義洋先生から、「あなたの後輩で気象庁に勤めている人が、ワークショップをしたいと言っている、関われませんか」という旨の打診が私と、大学院時代の後輩である池尻良平さんに来たところから始まる。この打診があったのは、昨年の9月6日である。

 

聞けば、気象庁では平成元年から地球温暖化について市民向け講演会「気候講演会」が開催されてきたが、今年は高校生向けのワークショップを導入したい!ということだった。気象庁とのお仕事は2013年から別件(防災ワークショップのパッケージづくり)で始まっていて、それも今回の件に繋がったのだと思う。

 

ただ、私は今回、講演会を期待されている層もあるのではないかと思ったので、従来の形式も残しつつワークショップを導入するという提案をさせていただき、監修という形で池尻さんと関わらせていただいた。これは、庁内あるいはこれまでの聴衆と、どのくらい調整していくかという意味で、いきなり全てをワークショップにしてしまうことは、反動が出るのではないかと思ったのだ。

 

最初に考えたのはこの活動を誰にとっても理解しやすいものにしていくためのプロセス、だった。行き詰った問題に対し、ワークショップを単発で導入することは案外簡単だ。ワークショップを単発で導入することは簡単だ。しかし、その効果を関係者がじわじわと感じ、継続的な活用が見られなければ、大きな動きにはつながらない。どのくらいのペースで切り込んでいくかというのは、最も配慮するところかもしれない。

かといって、初回には、確実に、ドラスティックな成果を残す必要がある。勇気を持って、「変革」をしようと考えたタイミングで、120%の手応えがなければ次回は無いと思った方がいい。とんとんや予期できる成果では、その活動は長期で見るとsustainableにならない。高校生へのプレ実践も踏まえ、関係者で議論検討し、当日に臨んだ。

 

ワークショップには、関東の4校から高校生18名が参加しており、私の母校である学芸大附属高校からも7名の高校生が参加していた。4校へのコネクションは、田中先生があれやこれやの交流を駆使して呼びかけをされていた。教員養成系大学の附属校であるというだけではない、もう一段階、二段階上の情熱がなければ、他校教員とのつながりや、外部への引率は「面倒」なのではないかと思う。こういったつながりを作って活動されている田中先生には頭が下がるとともに、当時、そんなことを聞いたことも無かったけれど「この人は面倒見の良い先生だ」という感じ方はしていたので、その根っこにあるものは当時から察して、今も交流が続いているのかもしれない。

私は大学院受験の際の推薦状は田中先生に書いてもらっている。院試を考えた当時、学部ゼミの先生は他界していたので、どうしたものかと考えた。他に「先生」と名のつく人でコンタクトを取りたい人が居なかった。地学は1年しか受講していなかったが、レポートが面白かったという印象があり、きっと先方も私を覚えているのではないかと思った。

 

勿論、参加した母校の後輩は、全くこのような背景を知るよしもないだろう。きっと、私も、大きな流れの中で、気づかないものに支えられていたのだろうと、公教育の厚みを改めて思った。