『科学技術コミュニケーション』採録決定

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2016年5月11日付けで、共著論文「大雨対策への知識・意識向上を目的としたワークショップのデザインと実践」が、雑誌『科学技術コミュニケーション』(査読付)に報告として採録決定しました。この雑誌は、刊行と同時にオンラインで全て読めるようになります。刊行は恐らく、6月かと思います。

 

この研究、打診が2013年初夏、開始は2013年夏からで、実践では全国6箇所の管区気象台を回るというものでした。著書『ワークショップデザイン論:創ることで学ぶ』を読んで、学習評価に関心を持って、気象庁担当者が面識ない私に打診してくださったという経緯があります。

www.jma.go.jp

 

人に持ち込まれた話に対してあまり首を縦に振らない私が、週1程度割いて大手町官庁街に足を運び取り組んだ研究でした。何に心を動かされたかというと、それは当時の気象庁担当者Yさん、Tさんの熱意だったと思います。投稿時、連名にしましょうと申し出たのですが、私たちは職務としてやっているのでと仰られて、複雑な気持ちになりました。そういう、名前の残らない沢山の人のお世話になって、私達の領域の研究っていうのは成立していくんです。

 

私の役所や役人に対する考えが少し変わった仕事でもありました。それまでは一括りで、役所は苦手だ、と思っていましたが、思い込むのは浅はかだっなと思いました。1人1人、考えも想いも違っていて、全体としてどう動くかどう見えているかということがあるのです。この研究では委託業者として企業も関わっており、その会社を通じて会社で働くということについても随分考えさせられました。

 

実践が終わり、成果をまとめて投稿する中でもしんどいことが沢山ありました。最初の投稿は2014年9月だったので、時間がかかりました。とてもとても苦戦しました。細かい経緯を書くことは控えますが、ちょうど転職のタイミングと重なったこともあり、この論文の査読対応は、今まで経験した中で一番の辛さがありました。

 

しかし、全く領域の違う人に読んでいただき査読対応する中で、読みやすいものになったのであればとても良いことだと思います。これまでは教育系の論文誌にのみ出してきたので、新しい挑戦ができてよかったです。前提も背景も異なるところに投稿する中で、気づかされること、学ぶことは大きかったです。私は、博士(学際情報学)なので、ブリッジしてなんぼです。これからも、いろいろなところに出して行きたいです。

 

これはとても沢山の人に支えられ、沢山の人との対話の中で生まれたワークショッププログラムです。そういった想いや背景はすっかり、ざっくり、論文という ものの中からは排斥してcoolに書きます。でも、本当はこういう、開発の過程こそが記述されていくべきデータなのではないかという気もしています。

 

そういう考えが、今、私がアクション・リサーチに進んだ動機になっているかもしれません。Anonymous ということについて、研究者はどう向き合っていけるんだろ う。