真ん中ぢゃない何か

日本社会心理学会の全国大会にはじめて参加した。

博論が終わるまではあれこれ手を出さずと戒めていたので、この数年、学会参加も極力、日本教育工学会(JSET)だけにしていた。そういう意味で、今年は他に出かけることを解禁した。大きな分岐となる年である。

 

朝50分前には会場に到着。こんな緊張感があるの何年ぶりだろう。。30分ほど1人でロビーでぽつんとしてプログラムとにらめっこ。まずはポスター発表会場に行ってみた。あまりにもわからない発表が多くて(やっちゃったかな。。。)と、やや後悔しかかったが、目標だった高齢者関係の発表資料2件を一生懸命読んで、他は30分で諦めて口頭発表会場に移動。

非常に面白い発表を数件聴くことができた。司会の方が鋭く歯切れの良いコメントをするので、質疑の時間が面白かった。なんというか、方々にオーラを感じた。

 

午後は「分位点回帰分析」に関するワークショップに参加した。偶然にも午前のセッションの司会者が企画したもので、指定討論4名のうち2名に高齢者研究関係者がいたから聞いてみたのだけれど、開始10分くらいでこのワークショップが本当に斬新な問題提起をしているのだということを感じた。会場は立ち見状態。熱の籠った時間が過ぎた。

 

途中正直難しくてわからないことも多かったけれど、研究方法と理論構築が行き来することに刺激を感じた。

今まで平均にだけ注目してきたけれど、分位点回帰分析(quantile regression)というのを使ってみたところ、これまでの理論や仮説で見逃されてきたことがわかるようになる、平均だけで全体を見たことにならない、エキストリームなカテゴリを詳しく見る方法によって、より有効性のあるモデルが提示できるかもしれない、それがいくつもの領域でも予感される(今日は高齢者研究や投票行動の事例があった)という話だと理解した。

私は教育の研究では決してメインストリームではないであろう、生涯学習に関心を持っている。生涯学習プログラムというのは、万人のために一斉に用意できるというより、多様なニーズに向けて細やかに設計されるものだと考えている。だから、個々の企画において実践者も参加者も、マジョリティではない。生涯学習プログラムは義務教育からすればいつもオルタナティブであり、それでこそ存立するのだと思う。そういう極にある人、もしくはその極に傾く可能性のある潜在性に対して私は強く関心がある。だから、(平均だけを見るんじゃない分析方法を理論として提示するとともに、方法の妥当性や限界、活用を議論しようじゃないか!)という本日のワークショップでの問題提起に共鳴した。

初学者の私にでも課題の面白さが伝わるよう、具体に即して進めていただけた企画者の構成力にも感銘を受けた。正直、数時間、その熱を感じられただけで、沖縄まで出てきたかいがあった。

 

一流の研究者というのは、実践と理論なんて風に分断されてなくて、やっぱり軽やかに反復する筋力を持っているんだ。憧れる。これから私も、自分のできることで、もっともっとがんばって研究しようと思った。

 

自分自身もまた、大学という真ん中ぢゃない何かの中で、教育工学でも真ん中ぢゃないことを、でも、自分にとって貫きたいことのために進めている。そんなことも考えた。