正統的周辺参加(LPP:Legitimate peripheral participation)

正統的周辺参加(LPP:Legitimate peripheral participation)とは、「社会的な実践共同体への参加の度合いを増すこと」が学習であると捉える考え方。レイヴとウェンガーによる「状況に埋め込まれた学習」の翻訳とともに日本でも活発に議論が行われるようになってきた。「正統的周辺参加」論は、学校以前からの徒弟制において、熟達者から新入 りに技が伝承していく様子を観察した研究がもとになっている。最初は下っ端の仕事をしながら、より熟達している人がこなしているより重要な仕事を見よう見 真似で覚えていく。徐々に「周辺的」な位置から「中心的」な役割を果たすようになっていく姿を「学習」と捉え、下っ端であってもその共同体の「正規メン バー(=正統的)」であり、周辺部分から徐々に参加度を増していく、という意味で「正統的周辺参加」論と名づけた。”

“ブラウンらは、認知的徒弟制(cognitive apprenticeship)を提唱し、学校における認知的な学習についても、徒弟制のよさを取り入れることが可能であるとした。”

”認知的徒弟制では、次の段階を踏んで教えていく。[1]モデリング: 師匠は、徒弟に自分の技を観察させる。[2]コーチング: 師匠は、徒弟に学んだ技を使わせてみる。そしてその様子を観察し、アドバイスを与える。[3]スキャフォールディング(Scaffolding:足場づく り)&フェーディング: 徒弟が行っている作業が実行困難な場合に師匠は一時的支援(足場づくり)を行い、上達に伴って支援を徐々に取り除く(フェーディング)。”

熊本大学「基盤的教育論」HP:第9回 学習心理学の3大潮流(3)「構成主義:正統的周辺参加と足場づくり」より