星の降る夜

3泊5日の旅も今日で終わりである。基本、短い旅を好まないのだが、今回ばかりは、年始少しでも長く東京にいたかったこともあり、このようなスケジュールにせざるを得なかった。

 

国際会議は、結果的には別に恐れる必要はなく、普通の学会発表だった。寧ろ、ポスター発表会場が広くて椅子机があり座っていられたので、日本のポスター会場の混雑とは比べものにならなかった。私は特に、韓国の医療系の教授の方ががっつり座り込んで話してくれたので楽しかった。ついでに別な研究の話も、PCに入っていたスライドで説明してしまった。そちらも英語のスライドを作っておいてよかった。これからは常に英語の研究資料を持ち歩くようにしたい。

英会話の成果はあったと思う。文法はまだめちゃくちゃだという自覚があるが、何も考えなくても研究内容のレベルでも言葉がすらすら出てくるようになったし、話すのはこわくなくなり寧ろ楽しくなった。特に下書きも用意していないし、その場でリアクションをとることができる。でも、まだ難しいのは、(1)聞く気がない相手に聞かせる必要がある場合の話し方、(2)困っている人がいるときの話しかけ方、(3)聞き取りにくい声、というケースだろうか。こういうのはどうやってやっていけばいいのか。そろそろ、Skypeを使って、様々な国の人が使う英語を聞いた方がいいかもしれない。もっとも、突発的な事象に対する発話は、日本語でも難しいのだが。

 

英語で話すことで、日本語で話すよりも自身の研究内容への理解が深まった。それとともに、聴き手にとても面白いし先駆的だと言われ、お世辞でも気持ちがよかった。今回持っていったデータは、実は投稿するかどうか後回し気味の調査だったのだけれど、もう少し続きをやってみてもいいかもしれない。

 急に日本語で質問されてびっくりしたが、まあ日本人の研究者同士のときはそうなるのか。それにしても、日本人にはどこから来たかとか所属組織のこととか、この先すぐ転職するのかとか、博士号あるのかとか聞かれて、ちょっと不思議な気持ちがした。研究発表をしにきているので研究のことを聞いてほしいなあ。

 興味深いと思うものも1つあったので、論文になりますかと聞いたら今後ということなのでチェックしていきたいと思う。

 

さて、こんなことをした後、いつもどおり、時間いっぱいまで好きなことをして過ごし、空港に向った。

 途中、バスが止まってしまうとか、ホテルのフロントがとっくに閉まっているとか、建物の場所がわからないとか、ドアが開かないとか、真っ暗闇だとか、あれこれあったのだけれど、部屋に入ってみればバスタブがあるし、キッチンもあるし、お酒が無いけれど星が沢山あって、こんな夜もいいかもしれないと思う。

 

夜道に建物を一緒に探しながら、タクシー運転手の女性が私に言った。

"I'll take you home ! " 

ありがとう以上の、何も気の利いた返しが出来なかったことが悔やまれる。

 

こんなに沢山星を見たのは、記憶だと鹿児島の田舎にアパートを借りたとき以来かもしれない。あの時は真っ暗過ぎて、夜道、溝に落ちた

 

滞在3日目にして、お風呂上がりにソファでよくわからないノリのアメリカのテレビ番組を見ながら顔にパックをして髪を乾かしている。肌寒いくらいなので持ってきたカーディガンが重宝している。どこにいても結局、自分の過ごし方でそこにいる。

 

さて。ここにあなたが居ないことが、私にはとても不思議なのだが。あなたは今、何をしているだろうか。そんなことを考えながら、ハーブティーでも入れようと思う。

 

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