「Educe Cafe」の これまで と これから

先日は研究会のことを書いたのですが、今回はそれよりも前からやっているイベントについてまとめてみました。

「Educe Cafe」 は、私が博士課程の院生だった2007年から開催しているイベントラインで、理事を務めているNPO法人Educe Technologiesの非営利活動の1つです。これまで、31回開催してきたようです。これまでたくさんのゲストの方、参加者の方にお越しいただきました。ありがとうございます。

 

今募集中なのはこちらです!

 

harinezuminomori.net

 

仕事帰りにふらっと寄ってもらえる「カフェ」を志向しているので、基本は平日の夜開催で、定員20人の小規模が良いと思っています。 誰かに言われるからやるのではなく、自分がやりたくなった時にやって、気がつけば10年。今年もゆるゆるやっていこうと思います。私の考えに、文化的活動はどのようにしてsustainableに日常となりうるか、という視点があります。継続が目的化する活動というのは陳腐ですが、継続したい目的があるなら、継続できる方法を考えてのぞむ必要があります。他人の為にする活動は、私にとっては続ける動機が維持できません。私にとっては、実践者としての自分が消耗しないこと、楽しみ続けられることが、sustainabilityに最も近道でした。

 

Educe(エデュース)には、「Education」の語源にあたる言葉で、隠された人の才能を引き出すという意味があるそうです。Educe Cafeは、従来の枠組である「教育」というメガネをちょっとだけ外し、少しトリの眼になって「教育」の周りを見てみようよ、という想いで企画してきました。常に感性に働きかけるような素敵な活動をされている方をゲストとしてお招きし、その話題提供に刺激されて場全体で何かを考えていけるような創発空間にできたら、と思っています。

この人のことを知ってほしい!と思う人をお招きしたり、この人ともっと話してみたい!と思うときに企画とかこつけてお話ししたり、という感じです。

 

企画は基本自分で立ててきましたが、途中何回か、2人の企画者でコラボ企画するというのもやってみました。企画の仕方というのは、勿論自分で試行錯誤するのも大事ですし、経験者と一緒にやっていくのも学ぶ早道だと思っています。どんな人と会いたい?どんな人と話してみたい?というところから、打診計画や広報を考えていくのは、インタビュー調査の計画立案にも似ていて、研究者(志望者)にとっても思考訓練になるかなと思います。

 

当日は、会場設営を学生スタッフの方と一緒にすることにしています。学生の方にとって会費2000円や3000円は決して安くないはず(映画1本より高い)。学生だからお金を気にして参加できないのは勿体無いので、仕事をしていただいたら参加費をいただかないことにしています。毎回、テーマによってささる層が違うみたいで異なった学生の方に出会います。それが、私にとって一期一会の楽しみになっています(勿論、学生の方が希望されれば、その後、Facebook等でつながることもあります)

 

当日は40分程度のトーク+20分のごはん休憩+60分の質疑時間、というのが定番のタイムテーブルです。運営中、私は開始後は開催の挨拶をするのと休憩のアナウンスをするのと、質疑でお客様の質問を促す以外のことをしません。私が喋ってしまうと、他の方が質問できる時間を減らしてしまうので勿体無いと思うからです。私は、皆さんのやりとりを聴きながら、その日の意味をふりかえっている感じで過ごしています。

Educe Cafeでは、お飲み物や軽食もお出ししています。学生の方から大学・企業にお勤めの方まで、その場にいる人みんなが顔見知りになってお帰りいただけるような、アットホームな会づくりを心がけています。飲食物を扱うことで、少し準備コスト(時間・労力)がかかるのですが、それに見合った面白さと独特の居心地よさが、大学のスタジオに立ち上がると思います。願わくば、大学にキッチンがあったら。少し私もその場で手料理をお出ししたいんですけれどね。

 

 

2007年

第1回「大学の新しい学習空間を構想する」

ゲスト:望月俊男(専修大学講師)+山内祐平(東京大学准教授)

http://www.educetech.org/educe_cafe.html

 

第2回「公×民×学 つながりの場のデザインを考える」

ゲスト:北沢猛(東京大学教授)ほか

http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2007/12/educe_cafe_1.html

 

第3回「ミュージアムでの学びを支援する教材開発」

ゲスト:橋本優子(宇都宮美術館主任学芸員)・佐藤優香(国立歴史民族博物館助教

http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2008/02/educecafe.html

 

第4回「遊び場、学び場の空間づくり」

ゲスト:遠藤幹子(建築家)

http://www.educetech.org/educe_cafe2.html

 

2008年

第5回「美術教育の根拠:初めて食べる(毒)キノコをそれでも食べるために」

http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2008/10/_-_-.html

ゲスト:黒沢伸(ミュージアムエデュケーター/金沢湯涌創作の森所長)

 

第6回「美術と身体:毎晩布団を敷くときに怒られた」

榎本寿紀(美術家/ワークショップ・エデュケーター)

http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2008/10/_-_-.html

 

2009年

第7回「なぜいま本が愉しいのか?」

ゲスト:幅 允孝(ブックディレクター/BACH(バッハ)代表)

 

第8回「旅する研究室:モバイルメディアを活用したフィールドワークの実践」

ゲスト:加藤文俊(慶應義塾大学環境情報学部准教授)

 

第9回「対話の生まれる『場』のデザイン:三田の家・芝の家の事例を中心に」

ゲスト:坂倉杏介(慶應義塾大学特任講師)+上田伸行(同志社女子大学教授)

 

第10回「『アート』を届ける場所:実践事例『病院』という『街』へ:継続的ワークショップとその後の展開についてー」

ゲスト:ゴウヤスノリ (ワークショップ・プランナー/東京都現代美術館教育普及担当学芸員

 

第11回「研究室の中で学ぶ/研究室の外で学ぶ :いきいきとした研究ができる環境を考える」

ゲスト:豊田丈典 (0to1代表、東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程1年 / 日本学術振興会 特別研究員DC1)+宮野公樹(京都大学工学研究科マイクロエンジニアリング専攻 特任講師)

 

2010年

第12回「遊びごころって、なに?」

ゲスト:大月ヒロ子(有限会社イデア代表取締役/ミュージアムエデュケーションプランナー)

http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2009/12/educecafe_1.html

 

第13回「『創発的コロニー』の源泉をたどる旅」

ゲスト:新見隆(武蔵野美術大学芸術文化学科教授/キュレーター)

http://www.educetech.org/educe_cafe9.html

 

2011年

第14回「プレイフルコミュニケーションをデザインする」

ゲスト:塩瀬隆之(京都大学総合博物館准教授)

 

第15回「ヘルシンキで始まったEmotional Journey

ゲスト:大橋裕太郎・大橋香奈(ユタカナ)

http://educetech.blogspot.jp/2011/07/110727educe-cafe817.html

 

2012年

第16回「drinks×school:楽しみながら学ぶためのデザイン」

ゲスト:兼松佳宏(greenz)

http://educetech.blogspot.jp/2012/02/20120201educe-cafe224.html

 

第17回「プロジェクトエディターのしごと」 

ゲスト:紫牟田伸子(プロジェクトエディター/デザインプロデューサー

http://educetech.blogspot.jp/2012/02/2012225-educe-cafe315.html

 

第18回「社会とナンセンスの交差点」

ゲスト:土佐信道明和電機

http://educetech.blogspot.jp/2012/03/2012312-educe-cafe47.html

 

第19回「なぜワークショップ?」

ゲスト:加藤文俊(慶應義塾大学環境情報学部教授)+長岡健(法政大学経営学部教授)

http://educetech.blogspot.jp/2012/06/201267educe-cafe74.html

 

2013年

第20回「未来につなげるためのリフレクション・デザイン」

ゲスト:宮田義郎(中京大学情報理工学部教授)

http://educetech.blogspot.jp/2013/02/2013221educe-cafe319.html

 

第21回「『エンゲキで遊ぶ』をしゃべる」

ゲスト:柏木陽(演劇百貨店代表/演劇家)

http://educetech.blogspot.jp/2013/05/2013514educe-cafe615.html

 

2014年

第22回「ミュージアムにおける経験のデザイン:子ども向けツールの開発プロセス

ゲスト:佐藤優香(東京大学大学院情報学環特任助教

http://harinezuminomori.net/information/656.html

 

2015年

第23回「子どもたちはどこで学ぶのか」

ゲスト:会田大也(ミュージアムエデュケーター)

http://harinezuminomori.net/educe-cafe/831.html

 

第24回「仕掛学:遊び心を問題解決につなげよう」

ゲスト:松村真宏大阪大学経済学研究科准教授)

http://harinezuminomori.net/information/854.html

 

2016年

第25回「学習者の共同体による学習環境の運営」

ゲスト:近藤秀樹 (九州工業大学 学習教育センター助教

http://harinezuminomori.net/information/893.html

 

第26回「北欧の創造性を支える学びのエコシステム:幼稚園児との長い旅から」

ゲスト:上平崇仁

http://harinezuminomori.net/educe-cafe/921.html

 

第27回「『本づくり』で社会に問題提起する方法」

ゲスト:小池みき(フリーライター/漫画家)

http://harinezuminomori.net/information/929.html

 

第28回「子どもたちとアーティストが移動してひらく社会」

ゲスト:中島佑太(アーティスト)

http://harinezuminomori.net/information/956.html

 

第29回「ふたつの職業を噛み合わせるワークスタイル」

ゲスト:坂山毅彦(建築家/書店員)

http://harinezuminomori.net/information/972.html

 

2017年

第30回「記憶と表現、またその掛け合わせから生まれる場づくりついて考えてみる」

ゲスト:アサダワタル(文化活動家/アーティスト)

http://harinezuminomori.net/educe-cafe/1019.html

 

第31回「豊かなパブリック・ライフを生み出す仕組み」

ゲスト:飯田美樹(カフェ文化研究家・東京大学大学院情報学環特任助教

http://harinezuminomori.net/information/1071.html

 

2018年 (予定)

第32回「『デザイン・コンサルティング・ファーム』の仕事」

三浦健次さん(株式会社メタデザイン代表取締役

http://harinezuminomori.net/information/1082.html

 

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(写真は、フランスの哲学カフェの様子。)