市川崑の名作、『黒い十人の女』は、私が最も好きな映画を10本といったとき挙げたくなる作品です。1人の男性と、1人の妻、そして9人の愛人が出てきます。みんなで結託して男性の殺害計画を考えるという話です。
妻の双葉が言います。「あの人はとても優しい、良い方です。とても優しい男です。だから、次から次へと女ができます。誰にでも優しいって事は、誰にも優しくないってことよ。」
愛人たちが言います。「彼はピーターパンのように影を持っていない。ある意味では完全な現代人よ。空気のように消えてなくなる人間よ。電信柱と思えばいいのよ」「でも、やっぱり人間でしょう。こっちが気にしなくてもちゃんと生きているんですから」
映画はいろいろなことを教えてくれます。
リメイクがTVで放映されているそうなので、チェックしたいと思います。
でも、『黒い十人の女』は、フィルム・ノワールならではの美しさという気もします。
人間は、どこか黒いのです。その黒さが、また、愛おしい。