何を教えるか

こどもを持って、何を教えるかを考えるようになった。

親戚から従姉妹は、私と付き合うと良からぬことを吹きこまれるから会うなと言われていると聞いたことがある。確かに最後従姉妹に会ったのは20年近く前になる。

他所のことは知らないが、うちの子には、私が知りたくて仕方なかったことや、知って興奮したことを伝えたい。たとえば、地面は繋がっていて、うちから北陸まではバスで一本だ。

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北陸に行くと、日本海がある。

そして、日本海の向こうにはロシアがある。

氷見に仕事で行った際、酔った若い衆が、「東京より俺らはウラジオストクに親近感がある、晴れたら見えるから」と言っていた。カルチャーショックだったけど、以来、北陸は好きだ。

私達は案外、どこにでも行ける。それを知ろう。それを知らせたい。

大人の孤独

blogを楽しみにしているとかなんとなく読んでしまうとか言ってくださる方もあり、それがさほど対面関係がない方である場合もあり。でも、そういうことを言われたとしても、これを書いているのは私が私のために、であるというスタンスは変わらない。

 

私は最近、かためてしまった未来に押しつぶされそうになっている。

回っていた思考は衰え、負の感情ばかりが湧き起こる。ものすごく疲れを残したまま新学期を迎えている。伝えたい言葉は届いている実感が持てず、やり過ごす技術ばかりがうまくなっていく。

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そして、私はこの1年、何をしてきたのだろうと考える。

毎日、そこにあるものに必死で食らいつき、日々喜び嘆き苛立ち、そうしてきた。ただ、この数日は体力がなく、日々に食らいつくことすらできないでいる。

 

だいたい、きっかけになるのは子どものことや学校のことで、私にはそれがものすごく負担になっている。子育てに向いていないのに子どもを産んだ罰だと過日言われ、非常に腑に落ちた。ああ、私は今、罰を受けているのかあと。

 

好きなことをしていると罰を受ける。

それが世の中というものなのだろうか。

 

夏頃から、突然、大事に思っているものを叩き割りたい衝動に駆られた。それは発作のようなものなので、本心ではないと思う、思いたい。実際、その衝動で絶縁してしまった人が数人あり、後悔している。実際、<疲れる関係>には嫌悪があって、<関係>を継続したかったわけではないが、<人>そのものは大事だったはずなのだ。つまり、今は、<疲れる関係>を維持できる状態にない。目の前に迫ってくる約束に苦しみ、約束をする自分に苦しみ。一方でその約束がきっと将来を安定したものに導くと信じ、しかし苦しんでいる。

 

例えば、体調が悪いというと、「私もこの前まで体調が悪くてね」「私も◯◯障がいでね」とか、そんなことを言ってくださる方がいる。それはきっと慰めてくださっているとわかっている。わかるよと言われたとき、何か噴き出しそうになるのを抑え込んでいる。誰かに話を聞いてほしいけれど、話しかけることができない。なぜなら、他人だし他人には別の悩みがあって、そんな時間無いことも、そんな余裕ないこともわかっているから。

 

例えば「君は自分だけ辛いと思っているのかもしれないけれど、君だけが辛いんじゃないんだ。」と言われたこともあるし、「お前は何が言いたいんだかさっぱりわからない。愚痴を聞いてほしいのか?」と言われたこともある。言ったら相手をよりしんどくする、だったら黙って1人で苦しんだ方が良いんだ。

 

あれ、これは私が子どもに教えていることと全く逆のことではないか、と思う。

 大人は孤独である。

賢さは何処にあるのか

賢さとは何なのでしょうか。

 

博士課程に行って大学に勤めてよかったと思ったのは、賢いことはアイデンティティにならない、賢いことは人間のデフォルトであると思えたことです。

大学で働くと、ふらふらっと歩けば「賢い人」に当たります。

やっと息ができる、奇異に見られない、好きなことを言っていい、そう思えました。

 

褒められてきた人、目立っていた人、ヒーローだった人、ハブられてきた人、疎まれてきた人、寂しかったひと、いろんな人がいると思います。

でもそういうところをずっとずっと突き抜けて、今ここで何をしたか、今ここで何をできたか。それだけを一瞬一瞬、認め合い分かち合える、そういう人間関係があることを大学で働く中で知ることができました。

 

今、あなたは何を考えていますか?

私は、こんなことを考えています。

 

それだけで会話が成立していく場所は「賢さ」があるコミュニケーションだと思うし、それは魅力的だと私は思います。

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話すこと

私は話すことが苦手だ。

包み隠さず全てを話したい衝動に駆られることがある。しかし、ひとは往々にして、全てを聴きたいとは思っていない。

つまり、全てを語ることは話者のエゴである場合がある。

これに気づいたのは小学生の時で、私はお喋りをする相手を慎重に選んでいる。

たまに息急き切ったように話してみては、後悔する。

相手が大事なひとであればあるほど、話すことを躊躇う。

話さない方が、離れなくてよくて楽だなあとも思う。

私は別れてきたひとたちに、まだ、言いたかったことがある。それは離れたくは無かったからだ。でも、往々にして、もう聴きたくないひとは黙り、去っていく。

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誰かといること

今年春ごろ、息子が不登校だったときに、しょうがないので仕事行く先々に同伴していたわけだが、一応行く場所は選んでいたつもりで。

ここに行ったらもしかしたら何か感じるかもしれないなあと思って連れて行った場所のひとつが、西成のココルームだった。そこで、私が大学の研究会に行っていた間、息子は書道をして待っていたのだけれど、彼が3月に選んだ言葉は「トランペット」だった。まだ宿屋の居間に飾ってある。

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数日前、息子から、ココルームに新しい書道を送って欲しいと言われた。

「この前は『トランペット』って書いたけれど、今は『合奏』って書きたかったから」と。

 

1人で吹くよりみんなで吹きたいんだな。

 相変わらず、家庭科の刺繍もトランペット、技術の自由レポートは電子楽器の歴史と動向、個人レッスンに部活と楽器にのめり込んでいく彼だけれど、1人で海辺で吹くよりも、仲間と合奏するのが楽しいと思っているんだなと思った。

 

彼は彼なりに、他人との関わりを面白く思い始めているのではないかと思う。半年で字も随分綺麗になったなとも思う。もう大丈夫、とは少しも思えないけれど、まあなんとかなるだろうとは思う。

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夏休みのレポート

もっと本当はいろいろ考えていることがあるし、楽しいことも考えているのだけれど、どうしても疑問に思ったので先にここにメモしておく。

 

以前、自由研究を出す先生は自由研究とは何かを知っているのかというような問題提起をするblog記事があった。夏休みになるとよく、誰かが拡散するので思い出す。

NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 「夏休みの自由研究」とはそもそも「何」なのか?:テーマ選びの際に考えておきたい3つのポイント

 

私には中学2年の息子が1人いる。

夏休みの宿題真っ最中で、リストを見ると自由研究は無いらしいが、各教科で様々なレポート課題があるようだ。彼は私が大学でレポートを添削したり書き方を教えたりしていることを知っているので、「レポートってどう書くの?」と聞いてくる。私には手加減が難しく、自分が大学生にこう書くようにと教えている通りのフォーメーションを教える。実は、及第点に至るための留意すべきことはそこまで多くない。

 

自分が大学時代も、他人のレポートに深い助言(敢えて代筆とは言わない)をしていたことがある。私は書くのが好きなので、レポートで成績がつく授業ばかりシラバスで選んでいた。テストより楽勝だと思っていたからだ。

 

では私はいつレポートの書き方を習ったのか。それは中学1年の自由研究をやっていたときではないかと思う。母に参考文献と引用の仕方について明記するよう注意された。そのときの助言はとても役立っている。彼女も私同様、博士課程に行っており、当時は在野にて作文や小論文指導をする教師だった。母が作文する様子を見て、恐ろしく速いので圧倒されていた記憶がある。

 

「レポートを出しなさい」と言っている各教科の先生たちは、レポートとは何か、レポートはどう書くのか教えているのだろうか?疑問に思い、息子に聞くと、誰も教えてくれないよと返事が来た。クラスメイトもポカンとしているとのこと。やり方がわからない宿題が憂鬱になるのは当然だろう。

 

私は今日、息子に書き方を教えているので、きっと彼は将来までそれを使うことができると思う。しかし他の学生にそのようなことを助言できる保護者がいるとは限らない。こうやって、教育というのは恐ろしいくらい格差が生まれていくんだよなあと思う。クラスの中で息子のレポートを見て、ああこうやって書くんだ、書くとわかりやすいんだと参考にしてくれる同級生がいることや、それを教員が促してくれることを、ほんの少し期待する。

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