仕事と僕と

「仕事と僕と、どっちをとるの。」

 

息子にこう言われたことが何度もある。物事はそんなに単純ではない。仕事をしなければ君を育てていくことができないのだと言って聞かせる。どうせ働く親である私は、子にこういう言い方をしなければならなくなる。それなら、自分がやりたい仕事を、自分に適正のある仕事を、と思う。

 

息子が数日後から入院することになった。

現在、その準備がある。しかし、いつになるかわからない入院を待つよりはずっとずっと、私の精神は安定している。こういう状況になったので、仕事が手に就くだろう。

今回、テニュアにあることの素晴らしさを実感した。

 

通院は毎週◯曜日、と指定されたとき、働く親であればスケジューリングに追われるだろう。私の職種(大学教員)が特殊なこととして、授業日に休むということは困難という点がある。有給休暇申請とかで代わりが効くことはない。休講したら必ず補講をすることになっているし、そもそも、私の勤務校では相当の理由が無い限り、休講は認められない。

 

病院から見通しの見えない返事をもらった時、息子への心配と同時に、もう私の大学教員人生もこれまでかと、青くなって事務に電話をした。そして、来年度の授業担当について、時間割の調整や勤務方法について相談した。そこで初めて、家族に何かあった場合、私の職場では、様々な対応がとられており、臨機応変に、就労が続けられるよう模索してもらえるのだと知った。脳裏をかすめた退職願は、取り越し苦労であった。

 

これが非常勤時代だったら。特任時代だったらと思うとぞっとする。

私は、かつて素晴らしい上司に恵まれ、自身の体調不良時に図らってもらったことがある。しかし、そうはならないケースも、多く耳にするのが現実だ。

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