これからの話をしよう。

最近、過去を振り返ることが多かったのだけれど、それらはすべて、これからのためにある。私たちは、「これからの話」をしなければならない。

これからというのは、決して遠い未来のことを夢見がちに考えることではなく、これからは、足元から既に始まっているものだ。

 

普段、とりたてて祝日を祝うこともないのだが、今日は偶然にも「文化の日」らしく文化的な一日だった。(もっとも、大抵に日は、文化的なことをしている。趣味はなんですかと聞かれ言葉に詰まる私は、日常に文化芸術活動が埋め込まれていることや、そもそも仕事そのものが本を読んだり書いたりすることであることで、それらと趣味との境界を見出しにくくなっている。)

ひょんなことでお知り合いになった方から、室内楽のコンサートにご招待いただき、モーツァルトを堪能する。『グラン・パルティータ』という曲を聴く中で、自分が音楽に惹かれるようになってからの時間を回想した。音は熱をくれたり、空間を与えたりするのですごいなあと思う。

それから後輩の研究相談を聴いた。折角なので、本郷に新しくできた珈琲店でということになった。アンモナイトという店だ。豆が選べて丁寧な仕立てと、ざっくりとした店のつくりとのギャップがなかなか良い。後輩の研究も、どんどん分析が面白くなってきており、楽しみだ。この研究の意義を上手に書ききってほしいので、そろそろ背景等の原稿を書き始める方がいいのではと話した。もやもやや、舌足らずさ、奢り、いろいろなものが書き出さないと表出しないと思うので、初稿は早めに着手したほうがいい、一回形づくってから見えてくるものがあるというのが実感だ。私もそろそろ、校正を終えたら次に行かないと。

 

それから、音楽から頭を切り替えて、建築関係のイベントに参加した。他人のイベントに参加することがあまりない私だが、今回は、広報を見た瞬間即決だった。聞けば、申込み1番目だったらしい。

〇〇書店トーク011:吉良森子×山崎 亮×遠藤幹子×佐久間悠×坂山毅彦

 

吉良さんも遠藤さんも知人かつ尊敬する人であることから、惹かれたのも確かだが、なんとも言えない、このイベントのタイトルに惹かれた。

「『これからの建築士賞』の、これから」

なるほどね。

 

控えめな、しかし、挑戦的な、文学青年のようなじっとりとした感じも受ける、不思議なトーン。今の時分、気分に合っている。

 

それで聴きに行って、予定調和に終わらせてなるものか感が伝わってきて、ああ、この人たち新しいものを創っていってるんだなと、そういう気がした。いい感じでまとめようとしていないことも含めて、とてもよかった。

 

懐かしい気すらする作業場的空間の中で、聞けば2年の期間限定だからいろいろ自由にやらせてもらっているスペースだとか。会場(ハーフハーフ)も非常に面白い場所だった。

 

そして思ったのは、私、大学のときと本当に好きなもの変わってないなと。こんな場所が好きだ。こういう、結論を出そうとしない議論が好きだ。新しいものを創りたいという欲求が好きだ。食ってかかるみたいなスタンスも好きだ。作業が好きだ。

 

私は、これからを考えるのが好きだ。

 

受付に、知り合いがいて、そういえば君は出版社に勤めたんだったよねって言ったら、私が手にしてまさに買おうとしていた本を担当したのが彼だった。すごいね、すごいいい仕事しているじゃないと。修士を出て社会人になって何年目なのかなあ、すごいなあ。

 

彼は、まさに、私が、ジャカルタに行くきっかけを創った人で、私はジャカルタに行っていなければ今ほど、「教育」に向き合えていなかったはずで。だから彼にはすごく感謝している。Amazonではなくて、彼から本を買えたこと、とっても嬉しかった。

これからの建築士 職能を拡げる17の取り組み

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彼の出版社は京都にあるらしいので、今度は京都に会いに行く。また話せるのを、とても楽しみにしている。これからの仕事を、なにか一緒に創ってみたいなと思う。

harinezumi.hatenablog.com

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