研究室

元いた部屋、今いる部屋、その2つは、どのくらい離れているのか。

 

全然わからなくなってきた。なんだか、自分が今何処にいるのか、わからなくなってくるのである。毎日毎日、考えていることがあるのだけれど、そのために読んだり書いたり、たまに授業や会議で話したり。往復の間はほとんど眠っている。駅か構内でアイスコーヒーを買い、それを飲みながら研究室に入るのが日課である。

日課といっても、週3日で、そのほかの日はまた別のところで、何かをしている。その部分は特に、昨年までとの変わりはない。ただ、元いた部屋には行かなくなった。なんだろう、行ってはならないと思っているわけではなかったのだが、本を移動させてしまったら、あまり行く必要が感じられなくなった。本がある場所が落ち着くということか。

 

今の研究室は長屋のような仕組みになっている。周辺に知り合いは居ないので、会議と授業くらいしか人とは話さない。在室時間が重なっていない人も多いのか、すれ違うのは向かいの書道部の学生が多い。もっとも、私は用事がないと研究室から出ることはない。だから、出歩くのは研究室と教室(行く教室は3つ、建物は2つだ)と、1つの建物(その中に、総務、教務、会計、会議をする部屋、研修をする部屋がある)、あとバス停。コンビニ2つのうちの一つ。

他には行かない。図書館にはまだ入ったことがない。こんなに一人の時間があるということ、それを満喫しているというところだろうか。仕事は新しいことがたくさん入ってくるので、混乱もするし疲れるけれど、でも、本のある部屋が私を癒してくれる。

 

今いる研究室は6畳以上8畳未満といった感じで、最初は狭すぎるのではないかと不安を感じていたが、収納にはかなりの本を入れることができ、内線があるので便利で。本を読みながら考え事をするのには適している。水道が部屋に引かれているが、入居時の掃除のあとはあまり使うことはない。

今の研究室は、私が大学出たての頃住んだ恵比寿の古い風呂なしトイレ共有のアパートより広い。

もっともそのアパートには、その家には! 冷暖房が無かった。並びには独居老人が幾人も住んでいて、住んでいる期間中に死んでしまった人も居た。もうそのアパートは取り壊されて今はないだろう。

 

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さすがにこのままではいいとも思えない。

 

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図書館利用者を観察することにした。

課題を見つけなければ、何も始まらない。