思い立ったので、吉日

気づけば、大学院に入り大学に就職し、そんなこんなで研究生活8年目である。

 

大学院に入るまで3年半ほど、一義に居を定めず放浪していた。それなりに仕事はしていたし、人間関係も形成していたつもりだけれど、今思いだそうとするとあんまり覚えていないことも多い。とにかく毎日、何して食べるかどこで寝るか考えなくてはいけない、大変のんびりしていて刺激的だった。

 

ふと、鈍行列車で旅をしていないことに気づいた。

ここ数年、仕事と絡めての遠出ばかりで旅をしてない。それなりに電車にも飛行機にも乗る。それはとても幸せで楽しいことなのだが、如何せん、目的は仕事なのである。仕事だから、行かなくてはいけない。乗らなくてはいけない。見過ごしてはいけない。遅刻してはいけない。そう思うと、行けなかった場合はどうなってしまうのだろうと考えはじめ憂鬱で、場合によっては、熱やら蕁麻疹やら出血やら胃痛やら、全力で身体が拒否して大変である。もうそうなったら、何事も宜しくない。

 

身体というのは心を映してしまう。

身体をそれでも誤摩化そうとするならば、それは心を黙殺し裏切らなくてはいけない。

 

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急に思い立ち、どこかに行くことにした。

あまりお金がかかることはできないのだけれど、丈夫な身体とパソコンがあれば原稿は書ける。まあ、別に原稿書かない日があったっていいじゃないか。どうせ、数日で戻ってくるんだし。

 

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次は東京で就職しなくてもいいなあと最近よく思う。寧ろそれは口実か。

空の狭い東京に棲むことが、少しめんどくさくなったのかもしれない。