祖母が他界した際、看取りに来た息子が、涙が出ないことを気にしていました。14歳にとり、近しい人の死は経験の乏しいものであり。それは、親族付き合いをしない私も似たようなものでした。
深夜に病院で、正式に死を告げられてからの数時間が、私には新鮮で、興味深いものでした。息子がしきりと、祖母の身に施されることについて様々な疑問をぶつけるので、神妙な雰囲気の中、私は笑いが止まらなくなってしまいました。
病院だったので、マスクをつけるよう指示されていて、笑いはマスクの下にありましたが、目から溢れる涙は堪えられませんでした。笑い過ぎました。息子は、笑われたのを怒っていました。彼もまた、大真面目に言っているのに何故、母は笑うのかと憤慨するわけです。
帰り道、私はどこか可笑しな人間かもなと思いました。祖母の死は悼んでいるのですが、会話の方が気になってしまう。
でも、考えても仕方ないのです。
祖母のことを考えていたら、つい、ヒヤシンスを買っていました。うちでは育てられないから、育てられそうな人に、あげました。