彼岸/此岸

空港に着いた。明日までにやらねばならないことがあるのだが、その前に覚えているうちにと言い訳して書いている。

 

日常と非日常の境目をさまようのが旅だと説明して、あなたはわかってくれるだろうか。私にとっての非日常である土地で、誰かがしっかりと日常を送っていたり、はたまたいつもの服、いつもの習慣、いつものインターネットであれば、知らない寝床すら日常になってしまったり。異/同というのは案外、錯覚のようなところがある。

 

仕事帰り、尾道から船で百島に渡り、旧中学校跡をアートサイトにリノベーションしたものを観てきた。作品も面白いけれど、そこに行く道すがら起きたことや周りの環境がその経験をより一層趣き深く成立させていた。

artbasemomoshima.jp

自分の通ったわけではない中学校ではあるが、そこはやはり、昭和に建てられた中学校というフォームをしているので、ノスタルジックな気分になるに時間はかからなかった。3階に上がると、外を見渡せる場所があって、そこで昼ごはんを食べた。中学の屋上でパンをかじったのと同じようでいて少し違う。ワインがあるしそこには海がある。昔ならできなかったことが実現している。

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尾道行きフェリーに乗り込むお坊さんが、フェリーで百島に戻ってくる人に、おかえりなさいと言いながら船に乗り込んでいった。あっちの世界とこっちの世界、彼はいろんな世界を行き来しているのだろうなと思った。

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