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研究者人生の転機とどうつきあうか

研究を継続すると決めたからには、それを実現する方法を考える必要があります。先日、転職すると職場を変わった後に業績数が減りやすい問題、というのを書きました。

harinezumi.hatenablog.com

研究者にかぎらず、何か環境を変えた後に生産性が落ちるということはあるかと思います。研究者の場合は特に、科研費申請等で一覧を作成する際、穴になっている年(年度)があると目立つという問題があります。年で書く場合と年度で書く場合、両方に対応する必要があります。出版物は、予定より刊行が遅れることもあるので、そういう悪戯にはまることもあります。偉い先生は共同研究が沢山走っていてそんな心配ないのかもしれないのですが。若手には響く時があります。

 

研究キャリアも修士から数え12年目になりました。私にとってのキャリアの懸念は大きく、2回ありました。

【1】博論提出後に研究テーマのブランクができないようにする

【2】2つめの大学に移動した際にすぐアウトプットがあるようにする

 

自分の頭の整理、並びに直接の後輩や、他の方に、何か参考になることがあるかもしれないので、普段なにを考えていたか書いておきます。

 

【1】についての対策

「博論燃え尽き症候群という話を院生の頃よく聞いていました。それは研究者としてかなり終わっているなと思っていたので全力で回避したいと思っていました。博論を改稿しながら新しい研究テーマをどうするか考えていました。特に最後の1年は、如何に次のテーマへの助走にするかということを黙ってやっていました。博論を科研費の出版助成で刊行することは目標にしていましたが、もう1つ、実はやったのに含めなかった分析がありました。それはワークショップ実践者への量的調査に関して行ったデンドログラム分析です。

デンドログラムとは、クラスター分析において各個体がクラスターにまとめられていくさまを樹形図の形で表したもののことをいう。

実践者はどのようなジャンルのワークショップを経験しているかというもので、13領域+その他、で、複数回答可能で聞いたわけですが、実践者が同士の重なりを見るためにこの分析をしました。つまり実践者Aは領域1,3.5を経験、実践者Bは領域2,3,7を経験、といった具合に見ていくと、どの領域に実践者の交流があるかや、領域同士の距離感が見えるだろうと考えたのです。

この分析からわかったことは、論文にしませんでしたが、自分の進路決定・研究テーマ決定に大きく役立ちました。

まだやられていないテーマ、重なりが生まれていない領域はどこかをデータから見出すことができたのです。そして、それと今後の社会情勢を考えると、

α:都市計画

β:健康情報

の重なりになる課題を研究テーマにすれば新規性があると考えました。

そこから、

γ:超高齢化社会

ということを考えました。その上で、ワークショップ研究をやってきた強みを生かしたいということから、「〜に対する生涯学習的なアプローチ」という部分が出てきました。勿論、エイジングに関心があったのは熟達を見ていたからというのもあるのですが、本当は「〜における熟達」、で他にやってみたい研究もあったのですが、それはまだスペックが自分にそろっていないので、次の機会(5年後の研究課題)に回すことにしました。

次に、近隣分野は何か、別のロジックでアプローチしている研究群を集めました。そして、また、人的重なりを検討しました。今の<ラーニングフルエイジング>というコンセプトはこのようにして導出されたものです。これを博士論文を書きながら少しずつ始めていました。

 

【2】についての対策

前職ではフィールドワークができないという課題を感じていましたので、γ ができるフィールドにある大学で、自分の領域から就職できる業種を探しました。

一方、着任してすぐに始められることは少なく、γについて知見を出すのは手法的にも時間がかかると覚悟していました。そこで2つのことを考えました。

 

①転職までにできるだけ沢山のデータ取得をしておく。研究費があるので調査をいろいろかけておく。分析は仮までやっておき、時間のあるときや研究費獲得に失敗したときに、ゆっくりやっていく。研究費はいつもとれるわけではないから。

②新しい職場の業務と自分の研究関心の&を取れる研究計画を作成し早急に着手する。

 

転職先は前の職場と全く異なる環境を選択するというのも決めていたことで、それは自分の可能性を広げたかったからです。おかげさまでできる仕事の領域が増えました。

どこでも仕事があればそこにいく、勿論大事なことなのですが、一方で仕事はずっと付き合っていくもの。もっとも、入ってしまったらそこを愛する努力を惜しまないこと、そこのリソースを知り尽くす努力をすることも大事だと思います。

 

このような対策を講じた結果、なんとかまだ生き延びています。自由人で計画性の無い人生だと言われることしばしばですが、研究継続に関しては、比較的ロジカルに進めるところがあり、このギャップがまた自分でも面白いところです。

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