曇り空の下で

見送るのが苦手である。

どのくらいの時間、後ろ姿を見ていればいいのかわからない。

 

あなたは振り返ることも無かった、というようなことを先日、親しい人に書かれたのだけれど、それは大変興味深い話で。なぜなら、実は私はその時、振り返っていたから。彼女が見送ることを諦め踵を返すタイミングを見計らい、私はその後ろ姿を一瞥した。ちゃんと帰っていったなと。そうそう。

こんな風に、人と人はすれ違っていって、それがとても儚くて面白い。

 

最近、大事な人を何人も見送った。そして、私も日常に帰った。私には還える場所はないけれど、帰る場所はある。

 

見送るのが嫌いで、見送られるのも嫌いで、だからいかなる式典もできるだけ参加したくなくて、日常をこよなく愛し、変化の多い毎日を愛し、別れを愛し、出逢いに心震わせ。

 

そういえば、昔言われた言葉で面白かったことがあって。

「君は僕のことを少しも知らないのに何故好きだと言うの?」

それは、好きというのは、なにも知らないからもっと知りたいということだから。全肯定ではないのです、好きというのは。わかってないなあ。

 

さて、別れの日は憂鬱で、空は薄曇りで、そんな日には私はちょっぴり沢山予定を詰めて、そして気を紛らわせる。

交錯しないタイムラインのように。

 

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