専修大学「質的調査法」をつくるプロセス:第一回目から第三回目

 

専修大で、非常勤講師として、「質的調査法」という授業をしている。

(火曜日の3限、ハッシュタグは #質的調査法)

 

第一回の講義で登録者は2年生から4年生の28人。開講2年目だが、1年目とは大変様子が違う。今年も探索的な授業デザインが始まった。

 

まずは、私が、受講者のことを知っていくことが大事だと考えている。それを知っていく中で、授業の目標に向けて少しでも一人一人の学習を深めていく方法を、受講者と共に創っていきたい。

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調査法に関する知識・経験が違うようだったので、第一回目は自己紹介の後、どのような調査に関わったことがあるか、(1)目的(2)対象(3)人数(4)方法、という観点から経験者に非経験者へ伝達するワークを行った。

 

第一回目のグループワークを見ていると、どうも発言をすることに抵抗を感じる受講者もいるようだった。そこで、第二回目にはインタビュー実習(1)として、ゲストにアーティストである川田十夢(@cmrr_xxx )さんをお招きし、お話を聴いて質問をしてみるということをした。

 

通常のインタビューでは、こんな人数で行うことはないので、違和感のある設定ではある。しかしながら、仲間内で話を聴くのではなく、知らない人に知らない話をしてもらいそれについてその場で質問をすることの難しさを感じてもらえればそれでいいなあと思った。

 

受講生の意見として

RT @achaso: 面白いし、すごい!っていう感動が多ければ多いだけ、質問や疑問がなかなか出てこなくて困ることが多い。#質的調査法

という感想があったので、少しほっとしている。

 

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さて、このままでは探索的過ぎる。調査法として一歩踏み出す必要がある。

第三回目には、カフェ研究家の飯田美樹さんにお越しいただき、インタビュー実習(2)を行う。

 

これは私が、昨年から私が持ってきた疑問に、大学生はカフェにどのようなイメージを持っているのだろうか、とか、大学生は普段どんな場所で雑談をしているのだろうか、とか、そんなようなことがあったということにも由来している。

飯田さんに私自身が個人的にインタビューをする予定だったということもあり。せっかくだったら大学生と一緒に話を聴くと私の理解も多層な質問によって深まるのではないか?と思った次第。

 

対象に複数で話を聴くと、一人で聴くのとは違う面白さ、見えてくるものがある。これは調査法の本にはあまり書いていないんだけど、私は探索的なテーマに対してよくそういうことをする。グループインタビューからワークショップへ、質的調査法そのものも動きながら識る方法へと変わっていくんじゃないかということを、数年前から感じている。

 

第三回目には事前課題を用意した。受講生に、「カフェについてあなたが持っているイメージを、自分の経験に照らし合わせ、300字程度で書いてください。」という課題を出してもらった。

昨日が〆切だったので、さっき、まとめて提出されたものを読んでいたのだけれど、これが本当に多様でなかなか読んでいてわくわくする。

 

提出後に、飯田さんの著書に関する記事 をMLを使って紹介した。このブログを読むことで対象者に対する知識を少し持った状態で授業に来てもらうことを目指している。(本当は著書を読んできてほしいところだけれど、それはさすがに必須課題にするにはハード過ぎると判断した。)

 

第二回目のように準備をしないで話を聴くときと、第三回目のように準備をして話を聴くときで、受講者の中に違いを見いだせれば、それで十分だろう。

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第四回目には、第三回目までの実習等振り返りをする。実習が続いたので、第四回目は腰を据えて。質的調査法とは何かの概観をプリントなども配って説明しようと思う。インタビュー調査のために事前に考えておかなければならないことは何だろうか、とか、進める上でどのようなところに気をつけるべきか、とか、そういうディスカッションもしてみたい、と、今は思っている。